シャワーヘッド「ミラブル」とは   仕組みと効果を技術者が徹底解説

おすすめシャワーヘッド
  • ミラブルplusやミラブルzeroを買いたいけど高いし、本当に効果があるか心配…
  • 怪しい情報も多くて何を信じればいいかわからない…
  • ミラブルが本当に効果があるか技術者がしっかり解説して!

最近「ミラブルplusやミラブルzero」という高級シャワーヘッドがSNSやYoutubeで人気が出ています。独自の技術により小さい泡(マイクロファインバルブ)を作ることにより、通常のシャワーヘッドに比べ毛穴などに入りこみやすく高い洗浄力がある。という商品です。

ただこの手の科学商品には※効果には個人差があります」と小さく注意文が書かれていたり、実際に使ってみても本当に効果があったか分からない。など、いまいち効果がはっきりしないケースが多いです。

実際、過去には「水素水」や「マイナスイオン」ビジネスなど科学のようで実はよく分からない商品が多く展開していました。特に”水”に関する商品は効果があやしいものも多く、みなさんも一度は疑問に思ったことがあるのではないでしょうか。

私は高専・国立大学・大学院で工学を学び修士号を取得、その後は上場企業の技術者として働いており約12年間 工学に携わってきました。

そこでこの記事では「技術者の目線からミラブルのシャワーヘッドについて仕組みと効果を分かりやすく解説します。」

この記事を読めば、ミラブルを買っても期待した洗浄効果や節水効果が表れなくて後悔するリスクが少なるでしょう。

「ミラブル」とは

「ミラブルplus」や「ミラブルzero」は株式会社サイエンスが販売するシャワーヘッドの商標です。
※このブログでは両者を総称して「ミラブル」と記載しています。

シャワーヘッドは以前までは水道代節約など節水目的で販売されることが多かったのですが、最近では洗浄力や美容の観点から購入する人が増えています

特にミラブルは「シャワーヘッド美顔器」と謳うほど高い洗浄力があり、節水能力も高いです。また高級感のあるデザインであることから美容や節水、贈り物にと考えている人を中心に人気が出ているようです。

ミラブルplusとミラブルzeroの違い

株式会社サイエンスのシャワーヘッドにはよくTwitterやYoutubeなどで紹介されている「ミラブルplus」と新機能が追加され2022年5月に販売され始めた「ミラブルzero」の2種類があります。

それぞれの仕様は以下をご覧ください。

シャワーヘッド種ミラブルplusミラブルzero
販売年2019年3月2022年5月
運転モード・トルネードミスト
・ストレート
・トルネードミスト
リングストレート
・スプラッシュストレート
ストップボタン非搭載搭載
バブル径直径1μm未満直径1μm未満
最大バブル個数2000万個/cc7000万個/cc
効果・高い洗浄力
・肌水分量向上
・温浴効果
・節水効果
・脱塩素
・高い洗浄力
・肌水分量向上
・温浴効果
・節水効果
・脱塩素
メーカー小売り価格(税込み)¥44,990¥49,490

ミラブルzeroはミラブルplusの後継品で、これまでのミストモードやストレートモードに加えて、ファインバブルを出しながらストレートな水流が可能な「リングストレート」が加わっています。またミラブルplusと同様に肌水分量向上や温浴効果があるのに加えてストップボタンも追加されています。ミラブルzeroは従来のミラブウplusに対してより高機能な仕様となっていると言えるでしょう。

ミラブルシャワーヘッドの仕組み

ミラブルシャワーヘッドの一番の特徴は「トルネードミスト方式」によりウルトラファインバブルを生成する技術にあります。それぞれどういった定義や技術なのか、見ていきましょう。

ウルトラファインバブルとは

気泡は直径が小さくなるほど液面への浮上速度や消失速度が小さくなる性質があります。このため国際標準化機構(ISO)によって泡サイズ毎に呼び方が決められており、泡の直径が100μm(0.1mm)~1μm(0.001mm)の泡を「マイクロバブル」。1μm(0.001mm)未満の泡を「ウルトラファインバブル」と定義されています。ウルトラファインバブルは1μm未満の気泡であることからナノバブルと表記される場合もあります。

マイクロ(μ)とは100万分(10^6)の1であり、1μmは100万分の1m(=0.001mm)です。一方でナノ(n)とは10億分の1であり、1nmは10億分の1m(=0.0000001mm)を表します。ヒトが肉眼で視認可能な大きさは100μm(0.1mm)程度であるため、ウルトラファインバブルは目では見える大きさではないといえるでしょう。

ウルトラファインバブルは極小の泡であるため、浮力が非常に小さいです。このため刺激を与えなければほとんど溶解も浮上もせず、数週間~数か月の間消失しないことが報告されています。この滞留作用に加えて気泡表面がマイナスに帯電しているため吸着や反発などの静電作用、油状の物体を集める疎水性相互作用が働くため高い洗浄力を有すると言われています。

ウルトラファインバブル(ナノバブル)に関しては多数の研究があり、ミリサイズの泡に比べて洗浄効果は高いと言えます。

トルネードミスト方式とは

トルネードミスト方式とは株式会社サイエンスが特許を取得(特許-6717991)したウルトラファインバブルを発生する技術です。
高速の渦流れ(旋回流)によりウルトラファインバブルを生成し、吐出する際に外気を巻き込むことにより安定して気泡を発生させます。

例えばミラブルplusではトルネードミスト方式を用いた吐出口が12か所設置されており、1つの吐出口で1秒間に2000回転し、1cc(1g)当たりに約2000万個のウルトラファインバブルが生成できると記載されています。

この高速の渦流れによりウルトラファインバブルを生成する方法は高速旋回液流式と呼ばれ、気泡が高速回転運動により泡を粉砕することでウルトラファインバブルを生成します。

低回転ではマイクロバブル程度までしか泡を粉砕することができません。トルネードミスト方式は高いせん断能力でマイクロファインバブルを生成する技術と言えるでしょう。

「ミラブル」を使用して得られる効果

シャワーヘッド美顔器を目指しているミラブルには肌水分量upや節水などさまざまな効果が謡われています。中には技術者からすると信じがたい効果を目にすることもあります。

そこで公式情報とSNSなどで記載されている非公式情報をまとめました。比較したい方は以下をご覧ください。

公式に記載されている効果

  • 高い洗浄力
  • 肌水分量up
  • 温浴効果
  • 節水効果
  • 脱塩素効果

SNSで噂されている効果

  • 歯のホワイトニング効果
  • 肌荒れ/ニキビ/乾燥肌の改善
  • アトピーの改善
  • 髪質改善
  • 加齢臭/頭皮の匂いが消える
  • 肌のトーンが明るくなる/肌のキメが揃って、毛穴が目立ちにくくなる
  • ペットに使うと毛並みが揃い、ニオイも抑えられる。

公式では洗浄力や温浴、節水効果など5つの効果が記載されています。一方でSNSでは歯のホワイトニング効果や肌のキメが整うなど、公式に記載されている以上の効果が噂されています。基本的には公式に記載された効果の延長にあたる効果と考えられま。

そこで公式に記載されている効果についてそれぞれについて科学的なメカニズムを考えてみましょう。

洗浄効果が高い理由

洗浄効果のメカニズムはトルネードミスト方式により生成されたウルトラファインバブルによる静電作用と考えられます。

メカニズムは明らかになっていませんがウルトラファインバブルやマイクロバブルの表面は負(マイナス)に帯電する特性があります。このため気泡の表面では磁石のような静電作用により正(プラス)の電荷のゴミをひきつけ吸着する性質があります。肌の上の古い角質、ファンデーション、ダニの死骸などはプラス(+)に帯電しやすい性質があるため、それらを引き寄せて高いクレンジング作用が働いている言えるでしょう。これはペットの汚れに対しても同様であるためフケやにおいの原因物質を除去している可能性があります。

正(プラス)の電荷を帯びやすいか負(マイナス)の電荷を帯びやすかは物質の種類によって決まります。この傾向をまとめたものを「帯電列」といいます。帯電列を見ると人毛・毛皮や人などの皮膚はプラスに帯電しやすいことが分かるでしょう。

(注意)この静電作用の他にもたびたび気泡の圧壊による衝撃により付着物を除去しているという説もあります。ですがマイクロバブルの自己加圧効果による圧壊現象の研究報告はされていません。文献調査の結果では超音波照射など強いエネルギーを与えない限りマイクロバブルの圧壊は生じないと考えられます。

肌水分量がアップする理由

サイエンスの公式HPにはミラブルを使用すると肌水分量が増加すると記載されています。

ミラブルzero使用後は使用前と比較して肌の水分量がアップ。お湯が肌に浸透して潤うことがわかりました。

出典:サイエンス https://i-feel-science.com/ultrafinemist-mirable/

ですが、この結果はミラブルを使用する前後の結果を比較したのみで、通常のシャワーヘッドを使用した際の比較結果は示されていません。またストレートモードとミストモードでシャワーをした後の水分量に有意差がないこと、肌水分量は個人差が大きいことから、通常のシャワーヘッドからミラブルに変えたことで肌水分量がアップすると断言はできないでしょう。

一方でウルトラファインバブルの高い洗浄力という面から考えると、肌水分量がアップする可能性はあります。

例えば、敏感肌向け化粧品の開発を行っているDr.ウィラード・ウォーターによると肌水分量が下がる要因の1つとして肌摩擦による角質層の摩耗が紹介されています。

肌を摩擦することによって必要な角質まで奪われてしまうことで、肌に水分を留めておくことが難しい肌になってしまうのです。

出典:Dr.ウィラード・ウォーター https://www.willard.co.jp/wblog/index.php/2021/05/08/hada_suibun/#3

肌をこすることは肌水分量を低下させます。ウルトラファインバブルの高い洗浄力により、ベースメークや洗顔料を従来のシャワーヘッドよりもこすらず落とすことが可能です。ミラブルを使用すると肌摩擦による角質層の摩耗を抑え、肌に水分を留めておきやすくなる効果があるのではないでしょうか。

温浴効果が出る理由

ミラブルにはシャワーを浴びた後体温が上昇する温浴効果が謡われています。しかしマイクロバブルやウルトラファインバブルによる温浴効果の有無は現状明らかにされていません。

例えば、2012年の研究では東邦ガスの川原らが男性9名を対象にさら湯、マイクロバブル湯に10分間入浴した後ので比較実験を行っています。結果マイクロバブル浴がさら湯入浴よりも温浴効果が高くなることもあれば、効果がないこともあり明確な有意差は出なかったと報告されています。※1

※1 川原ゆう子 他1名.「入浴中の湯のマイクロバブル性状が温熱効果と入浴後のイメージに及ぼす影響」人間と生活環境 19 (2), 137-144, 2012

マイクロバブルを扱う企業の一部には実験で温浴効果があったと記載していますが、詳細な実験条件や再現性の情報がなく、温浴効果についてしっかりとした原理やエビデンスがあるとは言えないでしょう。

一方でマイクロバブル浴は皮膚表面にバブルが付着するため湯の質感がマイルドと印象づけられ交換神経活動が抑制されリラックスすると示唆されています。

入浴に関してはマイクロバブルが浮力により上昇することで湯の流れ(対流)が生まれ伝熱効果が高くなる可能性もあります。ただシャワーの場合は対流は発生しないため伝熱効果は特に変わりません。むしろバブルによって皮膚とお湯の間に空気の層ができるため伝熱が阻害される可能性もあります。

温浴効果の真偽は不明ですがこのサイトでは、ウルトラファインバブル・マイクロバブルの温浴効果はやや怪しいと考えています。

節水ができる理由

ミラブルを使用すると通常のシャワーヘッドに比べて約50%節水効果があると言われています。シャワーヘッドの交換で節水ができる理由は一言でいうと吐出口を小さくしシャワーの勢いを強めているためです。

通常のシャワーヘッドは水の吐出口が大きく圧力損失(抵抗)が小さいため、高い水圧をかけるには大量の水が必要となります。一方で節水シャワーヘッドは吐出口を小さくし圧力損失(抵抗)を高くしていため少ない水量でも高い水圧をかけることが可能です。

ホースの先端を指で押さえると同じ水量でも水の勢いが増す現象をイメージするとわかりやすいです。

吐出口が小さいほど節水効果は高くなります。一方で吐出口が小さいほど放水されるお湯の表面積が大きくなるため大気への放熱量が増え肌に触れるまでにお湯の温度が下がる傾向にあります。特にミスト状のシャワーの場合は表面積が大きいため放熱しやすく、同じ温度設定でも冷たいと感じるでしょう。

以上を踏まえると身体を温めたい場合は放熱が少ないストレートモードを使用するのがおすすめです。一方で顔などをやさしく洗浄したい場合は洗浄力の高いミストモードを使用するなど使い分けするとよいでしょう。

脱塩素能力とその効果

ミラブルプラスに付属しているトルネードスティックには亜硫酸カルシウム(CaSO3)フィルターが設置されています。亜硫酸カルシウムは塩素と酸化還元反応を起こし無害化する性質を持ちます。

株式会社サイエンスの実験では残留塩素濃度0.4ppm(mg/L)からトルネードスティックの亜硫酸カルシウムフィルターを通すことで初期濃度の約20%に当たる0.08ppm(mg/L)まで塩素を低減しています。

亜硫酸カルシウムフィルターは浄水器の分野でよく使われる還元剤であるため脱塩素効果はほぼ間違いなくあると言えるでしょう。

ミラブルが脱塩素効果を持つのは分かりましたが、水道水を脱塩素をすることで本当に髪質や肌に改善効果があるのでしょうか。以下に調査内容を記載します。

KAOのホームページでは塩素濃度と髪質について以下のように記載されています。

塩素濃度の高い水に長時間毛髪がさらされると、キューティクルのタンパク質が変質し、毛髪表面のなめらかさが失われ、キューティクルが剥がれやすい状態になります。

出典:KAO https://www.kao.com/jp/haircare/hair/3-8/

水道水は水道法により、病原菌等を消毒するため蛇口において残留塩素濃度を0.1ppm(mg/L)以上で管理するよう定められています。残留塩素濃度は地域によってことなりますが0.3~1.1ppmで管理されています。ここでいう塩素濃度が高い水というのはプールのような塩素濃度が水道水の4~10倍のような水を差し、水道水の低い塩素濃度が髪質に与える影響はほとんどないためかあまり言及はされていませんでした。

日本アトピー協会の情報によるとシャワーや入浴の際に塩素分はほとんど抜けるため、残留塩素がアトピーに与える心配は小さいとあります。

お肌に湿疹などがあるときは残留塩素の影響が心配されますが、一般的にお風呂をわかすことで塩素分は希薄になります。また給湯器方式であれば沸かす過程で先ず塩素分は抜けているといわれます。

出典: 日本アトピー協会 http://www.nihonatopy.join-us.jp/skin/shittoku/bathe.html

以上の理由から、脱塩素が髪質や肌に与える影響は小さいと考えられるます。ミラブルのシャワーヘッドは確かに脱塩素能力が高いですが髪質や肌荒れに関してあまり大きな期待はしない方がよいでしょう。

一方で髪質や肌荒れには個人差がありネットには効果が出たとの報告も多数あります。ミラブルの使用を検討しているかたは3か月ほど脱塩素フィルターを使用してみて、効果があれば使用を継続。効果がなければフィルター交換をせずに使用を続けるのはいかがでしょうか。

ミラブルの効果を考えてみたまとめ

これまで解説してきた結果を下記にまとめました。ウルトラファインバブルは目に見えないためレビューでは正確な効果は分かりにくいです。原理原則を知ってから購入をしたい!という方は是非参考にしてみてください。

公式に記載されている効果と考察の結果まとめ

  • 高い洗浄力→◎ ウルトラファインバブルによる吸着
  • 肌水分量up→〇 ウルトラファインバブルによる高い洗浄で肌摩擦を軽減
  • 温浴効果→△ 泡の刺激や対流効果??やや怪しい
  • 節水効果→◎ 吐出口が小さくなることで水圧を上げ節水
  • 脱塩素効果→△~〇 脱塩素効果はあるが、髪質やアトピー肌への影響は△

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