ファインバブルで汚れをこすらず落とせる?技術者が原理を解説

洗浄効果
  • ファインバブル水で洗浄効果が高まる理由って何?
  • なぜ通常の水より汚れが落ちやすいの?
  • どういった汚れに効果があるの?メカニズムを教えて!

近年、非常に小さい泡であるファインバブルが特異な性質を持っていることが分かってきており多くの分野で応用・実用化が進んでいます。特にこれまでの水洗浄をファインバブル水洗浄に変える事で洗浄効率をアップさせる取り組みが進んでいます。

給湯器などの配管洗浄や建築物の外壁洗浄などへの応用はすでに広まっているものの、また洗浄効果を定量的に評価する段階には至っていません。

このような背景もあり、ネットに記載されているファインバブルの洗浄関して原理を知らずに商品を購入する方がいたり、過度な効果を信じて商品やサービスを利用する消費者が多く見受けられます。

私は高専・国立大学・大学院で化学工学を学び修士号を取得、その後は上場企業の技術者として働いており約12年間 工学に携わってきました。

そこでこの記事では、これからファインバブルを利用して洗浄効率を上げる商品の購入を考えている読者にむけて「ファインバブル洗浄のメカニズム」について分かりやすく解説していきます。

この記事を読めば、ファインバブルによってどうして汚れが落ちやすくなるのか、そのメカニズムについて学べるでしょう。

ファインバブルで洗浄効率が高まる4つの理由

ファインバブル(マイクロバブル、ウルトラファインバブル)はその気泡の小さささから特異的な性質を示し、通常の水洗浄よりも薬品添加剤なしで洗浄効率を高め洗浄液量や洗浄時間、洗浄負荷を下げる効果が期待されています。

この記事ではファインバブルによって洗浄力が高まる3つの理由について解説していきます。

  • ファインバブルの疎水性相互作用による吸着
  • ファインバブルの静電気的相互作用による吸着
  • ウルトラファインバブルの浸透・膨張による剥離

ファインバブルの疎水性相互作用による吸着

ファインバブルは、油などの汚れと接触すると疎水性相互作用によって吸着が生じることが知られています。

疎水性相互作用とは疎水性側鎖が水との接触を避け、互いに集まろうとする力

引用:近畿大学値工学部理学科ホームページより https://www.chem.kindai.ac.jp/laboratory/phys/class/biophys/hydrophobic.htm

上記の疎水性相互作用を簡単にいうと、水に溶けにくいもの同士は互いにくっつきやすいという性質です。ファインバブル内部の気泡は基本的に空気であり、空気は水との親和性が低く疎水性(水に溶けにくいです。故にファインバブル自身も疎水性です。このため同じく疎水性の油汚れと接触するとくっつく力が働きます。

これは実験的にも示されており、浮遊させた油に対してマイクロバブルを接触させると、気泡が油を吸着し上昇に伴って油を取り除いていることが分かります。

壁面に付着した汚れに関しても同様です。マイクロバブルが油汚れに接触することにより油を吸着。上昇に伴って油汚れを剥離するメカニズムが考えられています。

引用:寺坂宏一・他2名,ファインバブル入門,日刊工業新聞社(2016)

ただし、疎水性相互作用による吸着の力は比較的弱いです。このため吸着をさせるにはマイクロバブル浮上速度が遅くするなど、せん断力を小さくする必要があります。

ファインバブルの静電気的相互作用による吸着

ファインバブルは、皮膚やナイロンなどプラスに帯電している物質と接触すると静電気的相互作用による吸着が生じることが知られています。

静電気的相互作用:正負の静電気的な引力・反発力

引用:近畿大学値工学部理学科ホームページより 
https://www.chem.kindai.ac.jp/laboratory/phys/class/biophys/electro.htm

静電気相互作用とはプラス(+)の電荷を持つ物質とマイナス(-)の電荷を持つ物質が引合う力、同じ電荷(プラスとプラス、マイナスとマイナス)を持つ物質が反発する力のことです。

ファインバブルはその性質上、水中でマイナス(-)に帯電しています。一方で皮脂汚れなどの物質はプラスに帯電しやすい性質があります。このためファインバブルと皮脂汚れが近づいた時、静電気的な引力が発生し吸着作用が生じていると考えられています。

ファインバブルがマイナスに帯電する性質については下記の記事にて解説しています。

吸着のイメージは下記のイラストが分かりやすいです。

引用:田中金属制作所:https://www.tanakakinzoku.com/ultrafinebubble/

汚れがプラスに帯電しやすいか、マイナスに帯電しやすいかは物質ごとに決まっています。この帯電のしやすすさは帯電列を使う事で定性的に判断することが出来ます。

ものとものを擦り合わせると静電気がおきます。片方がプラスに、もう片方がマイナスに帯電します。その静電気の正負の順に並べたものを摩擦帯電列といいます。

引用:大阪市立科学館 http://www.sci-museum.kita.osaka.jp/~ohkura/seidenki/taidenretu.htm

下記の帯電列を見ると、先ほど紹介した皮脂(人などの皮膚)や髪(人毛・毛皮)はプラスに帯電しやすいと言えるでしょう。

ウルトラファインバブルの浸透・膨張による剥離

マイクロバブルと異なり、ウルトラファインバブルは水中で長時間安定的に存在する性質を持ちます。
このウルトラファインバブルは流動しているとき汚れ(固着塩)と壁面との空間への浸透が早く、以下のメカニズムにより汚れを持ち上げ除去すると考えられています。

ウルトラファインバブルの洗浄メカニズム

  1. ウルトラファインバブルが汚れと壁面の間に浸透
  2. 多数のウルトラファインバブルの衝突によりマイクロバブルが発生
  3. マイクロバブルの急膨張により汚れが持ち上げられ剥離
  4. 連鎖的に剥離が生じて壁面が洗浄される。

引用:寺坂宏一・他2名,ファインバブル入門,日刊工業新聞社(2016)

バブルの浸透・マイクロバブルの生成・剥離はウルトラファインバブル独自の効果です。上記のようなメカニズムを考えるとマイクロバブル単体よりもウルトラファインバブルを用いる方が洗浄効果は高いと予想されます。

ウルトラファインバブルの浸透力は高いと言われていますが実際にはどうなのでしょうか。

ウルトラファインバブルの浸透力を図る目的として麦茶のパックを使った簡単な比較実験があります。この実験では麦茶のパックをウルトラファインバブル水に浸しただけで通常の水に比べ抽出速度が速くなっているのが確認できます。

このような結果からもウルトラファインバブルの浸透力は高いと言えるでしょう。

左が水道水、右がミラブルキッチンで生成したウルトラファインバブル水
引用:生活道:https://www.seikatsu-do.com/kfc/science/mirablekitchen.php

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