ファインバブルって何?定義や性質を技術者が徹底解説

ファインバブルとは
  • ファインバブルってなに?マイクロバブルやウルトラファインバブルとの違いは?
  • どれくらい小さいの?
  • 普通の泡と何が違う?性質を教えて!

近年、非常に小さい泡であるファインバブルがさまざまな産業で活用できる特異な性質を持っていることが分かってきています。身近なところでは気泡風呂(温泉)やシャワーヘッドなど、農業、漁業、工業の各種分野で国内を中心に普及が進んでいます。

一方でファインバブル技術は利用現場での開発や実用化が先行し、それを科学が追いかけて現象を解明していくという珍しいスタイルで発展してきました。

このような背景もあり、ネットに記載されているファインバブルに関してどういったものなのか知らずに商品を購入する方がいたり、正しい性質を理解せず、過度な効果を信じて商品やサービスを利用する消費者が多く見受けられます。

私は高専・国立大学・大学院で化学工学を学び修士号を取得、その後は上場企業の技術者として働いており約12年間 工学に携わってきました。

そこでこの記事では、これからファインバブルを利用した商品の購入を考えている読者にむけて「ファインバブルの定義とその性質」について分かりやすく解説していきます。

この記事を読めば、ファインバブルがどういったものかその基礎と性質について学べるでしょう。

ファインバブルの定義

気泡は直径が小さくなるほど液面への浮上速度が小さく、消失も遅くなるなど特異な性質を持ちます。また一口に気泡といっても水中に浮遊する球状のものから、壁面に付着した半球状のものなど多様な形の気泡が存在します。

こうしたサイズや形の違いを明確化し、科学技術のスムーズな発展を促進するため2013年に国際標準化機構(ISO 20480-1)および日本産業規格(JIS B 8741-1)により、通常の気泡よりも性質が異なる直径100μm以下の気泡をファインバブル(Fine Bubble)と呼ぶことが決められました。またファインバブルの内、直径1~100μmの気泡をマイクロバブル、さらに小さい直径1μm以下の気泡をウルトラファインバブルと定義しています。

高分子や油でおおわれた、いわゆる殻付きのマイクロバブルもファインバブルの対象とされています。

マイクロバブルおよびウルトラファインバブルという名称は2010年代にISOで議論され定義された名称で、それ以前はマイクロバブルのサイズの定義が異なっていたり、ウルトラファインバブルを「ナノバブル」と呼んでいました。ISOによる定義前に出版された論文や参考図書などでは、定義や名称が古い可能性があるので注意してください。

ファインバブルの物理的性質

ファインバブル(マイクロバブルとウルトラファインバブル)はその気泡の小ささから、非ファインバブル(日常生活でよく見られる直径100μm以上の気泡)に比べ特徴的な性質を示すことが様々な研究から明らかになっています。

この記事ではよく紹介される代表的な以下の3つの性質について解説していきます。

  • ファインバブルの上昇速度
  • ファインバブルの収縮
  • マイクロバブルの表面電位特性

ファインバブルの上昇速度

ファインバブルの内直径1μm~100μmのマイクロバブルは気泡径が小さいほど水中での上昇速度が遅くなることが明らかにされています。これは気泡が上昇するための力(浮力)が、気泡の直径が小さくなるほど弱くなるからです。

例えば2007年に発表された大成の気泡径を変えた場合のバブルの上昇速度を測定した研究では、気泡径の減少に伴って気泡の上昇速度が減少していることが分かる。この研究から気泡直径7μm~100μmのマイクロバブルの浮上速度はよく粒子の沈降速度計算で使用されるStokesの法則で近似できることが明らかになっている。

出典:Journal of MMIJ Vol.123 p.89 − 96 (2007),マイクロバブル技術の特徴と可能性
Stokesの法則

ここで、ρLおよびρGはそれぞれ液密度とガス密度、μLは液粘度、gは重力加速度を示します。。

一方で直径1μm以下のウルトラファインバブルでは浮力による上昇速度は、ウルトラファインバブル自体のブラウン運動の速度に比べて小さくなり、もはや浮上しなくなります。またマイクロバブルのような収縮や消失はしない特性があるため、大きな刺激を与えなければ数週間~数か月寿命があると言われています。

ファインバブルの収縮

ファインバブルの内、マイクロバブルは直径が小さくなるほど収縮が加速することが分かっています。これは小さい気泡ほど単位体積当たりの気液接触面積が大きくなること、バブル内の圧力が上昇することにより気泡内のガスが液相部分への溶解が促進されるためです。

例えば、下記の研究結果では直径200μm(0.2mm)程度の気泡は水中で400秒~1000秒(6分~16分)程度で程度で消失していることが分かります。マイクロバブルは時間とともに急速に収縮し、約数分の間でウルトラファインバブルとなって安定するか気泡が崩壊・消失して液中に分散する性質があるといえると考えられています。

引用:寺坂宏一・他2名,ファインバブル入門,日刊工業新聞社(2016)

一方でウルトラファインバブルの収縮に関しては、マイクロバブルと同じように収縮しすぐに消失するのではなく、バブルが安定的(数週間~数か月のスパン)で存在することがこれまでの研究より示されています。

下は慶應義塾大学で行われたウルトラファインバブルの可視化実験です。不純物を全く含まない超純水(左)レーザーを当てても何も見えず透過します。しかしウルトラファインバブルを含んだ水(右)は気泡がレーザーを散乱するため、レーザー光を観察することができます。

左が超純水、右がウルトラファインバブルを含んだ水
出典:慶應義塾大学理工学部  https://www.applc.keio.ac.jp/research/environment.html

長時間安定して水中に存在すると言われているウルトラファインバブルですが、なぜ水中でほとんど収縮せず安定化するのか、そのメカニズムは専門家の間でも意見が分かれています。この現象についてはスキン説や多体説、動的平衡説などが提案されているものの今だ明確な結論は出されいてないのが現状です。

参考文献:安井久一,ウルトラファインバブル,日本音響学会誌73 巻7 号(2017),pp. 424–431

マイクロバブルの負電位特性

水中のコロイド粒子が帯電しているようにファインバブル(マイクロバブルやウルトラファインバブル)表面も同様に電荷を帯びていることが知られています。

下の図はマイクロバブルが電荷をもつかどうか検証するための実験です。両側に電極を持つ容器にマイクロバブルを導き、マイクロスコープで気泡を観察しながら両側の電極の正負の極性を約1秒間隔で切り替えマイクロバブルの挙動を観察しています。

バブル表面が電荷を帯びていなければ、極性切り替えの影響を受けずまっすぐ浮上する。もしバブルが電荷を帯びていれば電場による引力・斥力により水平方向にバブルが移動するはずである。

結果、マイクロバブルは極性切り替えに応じてジグザク運動することが見られました。また移動先は常に正極であったことからマイクロバブル表面は負の電位を持つことが明らかにされています。

引用:寺坂宏一・他2名,ファインバブル入門,日刊工業新聞社(2016)

参考文献;Takahashi, M, Chiba, K., Li, P.: Journal of Physical Chemistry, B, 111, pp. 1343
-1347 (2007)

コメント

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